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オムロン 技術・知財本部の研究開発員が「2023年度 精密工学会髙城賞」を受賞 ~重なり合うワイヤーなどの線形状物体の輪郭を高精度に検出する手法を提案~

  • 2024年03月25日

オムロン株式会社(本社:京都市下京区、代表取締役社長 CEO:辻永 順太)技術・知財本部の研究開発員 内田 滋穂里、西本 崇志、木下 航一が執筆した論文が、このたび公益社団法人 精密工学会「2023年度 精密工学会髙城賞」を受賞しましたのでお知らせします。贈賞式が2024年3月13日に東京大学 本郷キャンパスにて執り行われ、賞牌を拝受いたしました。

写真左から、公益社団法人 精密工学会 会長 藤嶋 誠氏、公益財団法人 精密測定技術振興財団 常務理事 高増 潔氏、
オムロン株式会社 内田 穂里、西本 崇志、木下 航一



「精密工学会髙城賞」は、精密工学分野で独創性に優れ、工業的価値が高いと認められる論文で、その内容が産業界主体で実施されたものを対象とし、精密工学の基礎技術分野での産業界の活動を促進することを目的として贈賞されるものです。
詳細については、精密工学会のWEBページをご参照ください。
https://www.jspe.or.jp/activities/awards/

受賞論文の概要
■論文タイトル:「線形状物体における高精度な形状予測のためのインスタンスセグメンテーションモデル」
(掲載:精密工学会誌, 2023年89巻12号 p.907-914
■著者:オムロン株式会社 技術・知財本部 内田 滋穂里、西本 崇志、木下 航一

受賞理由
本論文は、工業製品で使われるワイヤーなどの線形状物体検出において、その線形状物体が持つ「細さ」と「長く連なる」といった形状特性に着目した損失関数を定義する革新的な手法を導入し、特にインスタンスセグメンテーション手法と輪郭間距離に基づく評価を通して、線形状物体の輪郭予測性能を劇的に向上させています。また、豊富な比較・考察が行われ、これが線形状物体のセグメンテーション精度向上に寄与していることが明確であり、当該分野の発展において工業的に非常に高い価値が認められることが評価されました。

受賞者のコメント
技術・知財本部 デジタルデザインセンタ 内田 滋穂里:
本研究は、学術領域では着目度が相対的に低くなる、輪郭の高精度な検出という課題を扱ったものです。具体的には、外観検査などの分野におけるICチップ上のボンデイングワイヤーや、医療画像処理における細胞膜などの対象は、線形状物体の一例であり、高い精度の輪郭検出が求められます。これらの課題に対して、拡張性の高い損失関数と評価指標を同時に提案し、予測性能の向上を示しました。
これまでは見過ごされていた観点での課題設定と、高い適用性を持つアプローチを提案したことで、学会発表を通して高い評価をいただき、精密工学会誌への論文投稿、そして今回の受賞につながりました。ご縁をとても嬉しく思っております。今後も本受賞を励みに、研究開発を通して社会的課題解決の一端を担えるよう精進していきます。

技術・知財本部について
オムロングループのコーポレートR&D部門として、コア技術である「センシング&コントロール+Think」を進化させながら、近未来に起こりうる社会的課題を先取りし、それらを解決するソーシャルニーズの創造に取り組んでいます。創業者の経営理念「機械にできることは機械に任せ、人間はより創造的な分野で活動を楽しむべきである」を拠り所に、人の可能性を広げ、人がさらに活躍できる未来の実現を目指し、ロボティクス、センシング、パワーエレクトロニクス、AI・データ解析などさまざまな研究開発活動をおこなっています。
詳細については、以下をご参照ください。
https://www.omron.com/jp/ja/technology

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